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なぜ日本株が再注目されたのか?日経平均株価33年ぶり高値の背景を解説
Column

皆様こんにちは。 株式会社 Japan Asset Managementです!
「日経平均」という言葉、日ごろからよく見聞きしますよね。皆様は、日経平均株価の値動きについて、どこまで把握していますか?

そもそも日経平均株価は、日本経済新聞社が東京証券取引所「プライム市場」に上場する銘柄の中から225銘柄を選定し、その株価をもとに算出する指数のことです。銘柄は定期的に入れ替わります。 今回は、昨今話題になっている日経平均株価の上昇と、その理由について、わかりやすく解説していきたいと思います。

[目次]
・日本株が再注目されたきっかけ
・日経平均33年ぶりの高値更新
・理由1:ファンダメンタルズ(経済の基礎的状況)が悪くない
・理由2:円安と輸出企業の業績向上
・理由3:東証によるPBR低迷企業への要請
・理由4:引き続き割安な日本株
・まとめ


日本株が再注目されたきっかけ

昨今の日本株は、力強い成長をみせるアメリカ株と比較すると、投資対象として見劣りしてしまっていました。 しかし、そんな日本株が再注目されたきっかけとして、4月11日の「投資の神様」として知られるウォーレン・バフェット氏の2度目の訪日が挙げられるでしょう。 2011年の来日からおよそ12年ぶりの訪日でした。この際、バフェット氏は、日本の5大商社株(三菱商事・三井物産・伊藤忠商事・住友商事・丸紅)の保有比率を全て7.4%まで引き上げ、かつ、追加投資を示唆しました。 この出来事は日本株を世界に広く周知させる非常にシンボリックな出来事となったといえます。

日経平均33年ぶりの高値更新

日経平均株価は、5月29日の終値で3万1233円と、バブル景気の時期の1990年7月以来、およそ33年ぶりの高値を更新しました。 その後も連日で高値を更新し、先日6月16日までに10週続伸を記録しました。10週続伸はアベノミクス相場初期の2012年11月~13年1月(12週続伸)以来です。

以下のグラフは、過去10年間の日経平均の値動きを示しています。

出典:日経新聞スマートチャートプラス (https://www.nikkei.com/smartchart/?code=N101%2FT&timeframe=10y&interval=1Month&upperIndicators=sma&lowerIndicators=volume&eventsShow=1)

この日経平均を引き上げている投資主体は海外投資家(外国人)です。3月5週目からの日本株の買い越し累計額は6兆円を上回り、今までのアベノミクスや郵政解散などの日経平均株価の上昇局面と比較しても、今回の株価の上昇は特異なものであると言えるでしょう。では海外投資家は日本株にどのような魅力を感じて日本株を買っているのでしょうか? その要因として、以下の理由が考えられます。


理由1:ファンダメンタルズ(経済の基礎的状況)が他先進国と比べて良い

日経平均株価が高騰している1つ目の理由は、米欧に比べて日本の景気が底堅いと見られていることです。 現在、日本の名目GDPは拡大を続けており、コロナ禍後の堅調な景気回復に物価の上昇が加わることで、 今後も日本の名目GDPは成長が見込まれています。通常、デフレ下では「実質」GDPが伸びていても、物価が下落することで「名目」GDPは伸びないことが多々あります。 さらに現在、足元での世界的なインフレにより、他の先進国が、物価高や金融引き締めで先行きが不透明になっています。 そのなか、成長を続けることができているということが、購入にいたる1つの要因になったと考えられます。

理由2:円安と輸出企業の業績向上

円安の進行は、海外で商品を売る日本の輸出企業にとって大きな追い風となっています。一体、なぜこれが起こるのでしょうか?
円安が進むと、輸出企業は外国で売った商品により得られたドルを、より多くの円に交換できる状況が生まれます。その結果、売上と利益が円ベースで見ると上昇するのです。 日本という国は、輸出に強く依存しています。トヨタ、ホンダ、ソニーなど、日本を代表する大企業の海外売上比率は非常に高く、それらの企業は円安の影響を大きく受けます。例えば、トヨタの場合、円安が1円進むと営業利益が約450億円増加すると言われています。 この事実からも見て取れるように、円安が進行すると、これらの企業の業績が向上します。業績向上はそのまま株価上昇につながり、日経平均株価の上昇に寄与することとなるのです。

理由3:東京証券取引所によるPBR低迷企業への要請

3つ目の理由として、3月末、東京証券取引所が、PBR(株価純資産倍率)が低迷する上場企業に対して、改善策を開示・実行するよう要請したことが挙げられます。 PBRとは、「Price Book-value Ratio」の略で、株価が1株あたりの何倍まで買われているかをみる投資尺度です。 これにより株価が割安か割高かを判断することができます。 日本は現状、東証プライム市場全体の平均PBRは、1.3倍で、3倍の米国と比較するとかなり見劣りします。 さらに、日本では、主要500社のうち、4割越でPBRが1を下回っています。 PBRの低さは、企業の収益性または成長性が市場に評価されていないことを意味しています。 このことに対し東京証券取引所が1倍を下回る要因の分析、改善のための具体策の開示といった具体的かつ十分な対応を求めました。 このような東京証券取引所による要請を受け、「日本の低PBR企業の資本効率や収益性が改善する」という期待が広まり、海外投資家などから割安株への買いも入りました。

理由4:引き続き割安な日本株

現在、日本株のPER(1株あたりの純利益、またはEPS)は15倍台となり、一部で割安感が薄れているという見方が広がっています。 しかし、他国の株式市場と比較してみると、日本株は依然として割安という位置付けにあります。 なぜなら、イールドスプレッドという指標が、その理由を示しているからです。イールドスプレッドとは、株式の収益率と国債の利回りの差を示す指標で、 これによって株価が割高なのか割安なのかを判断することができます。具体的には、イールドスプレッドが大きければ株価は割安、小さければ割高であると言えます。

現在、米国では利上げが相次いでおり、3カ月物の国債とS&P500の株式収益率のイールドスプレッドは、2001年3月以降で初めて国債利回りが株式収益率を上回る状態になっています。 一方で、日本はマイナス金利政策の影響を受けており、3カ月物国債と日経平均の株式収益率のイールドスプレッドはあまり縮まっていません。 これが、日本株がまだ割安であると評価されている大きな理由となっています


まとめ

今回は、過去数十年と比較した最近の日経平均株価の値動き、そしてその理由を4つ挙げて解説しました。 ニュース等で「日経平均が高値で推移している」ことをご存知だった方も、今回のブログをお読みいただくことで、 値上がりの背景には複数の要因があることを理解できたのではないでしょうか? 個別株式への投資だけでなく、資産運用全般において、まず国内や世界全体の経済動向を知ること、そしてその背景を理解することは特に重要です。 このブログが皆様の資産運用のためにも有意義な知識となれば幸いです。

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