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信託型ストックオプションとは?基本とメリット・デメリットを徹底解説
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皆様こんにちは。 株式会社 Japan Asset Managementです!
最近、注目を集めている「信託型ストックオプション」についての詳細を理解している方はまだ少ないかもしれません。 このブログでは、信託型ストックオプションの基本的な仕組みから具体的な活用例、さらにはそのメリットとデメリットまで、2部構成で詳しく解説します。 今回の前編では、まずはストックオプションが一体何なのかを説明し、その後に活用例とそれに伴うメリット・デメリットを一緒に探っていきましょう。

[目次]
・ストックオプションとは?
・ストックオプションのしくみ
・ストックオプションのメリット・デメリット
・まとめ


ストックオプションとは?

ストックオプションとは、元々は資金力が乏しいスタートアップが優秀な人材を獲得するためにアメリカで始まった制度です。 英語で、「ストック」は株式を、「オプション」は選択肢を意味し、これらは一定期間内に予め決められた価格で株式を購入する権利を指しています。

ストックオプション制度とは、会社が従業員や役員等に対してその権利を付与する制度のことです。 この制度により、ストックオプションを受け取った従業員や役員は、将来的に株価が上昇した際に、市場価格よりも低い価格で株式を取得することが可能になります。 その後、これらの株式を市場価格で売却することで、株価と購入価格の差分を利益として得ることができます。 なお、株式を取得することを「権利行使」と呼びますが、この権利は放棄することも可能です。したがって、株価が下落しても権利を行使せず、損失を避けるという方法もあります。
日本では1997年5月の商法改正によってストックオプションが認定され、1999年の東京証券取引所マザーズの開設以降、利用が広まりました。 現在では上場企業の約3割(※1)、2020年の新規上場企業の9割近く(※2)が導入しています。 ストックオプションは新株予約権(※3)と混同されがちですが、新株予約権は社外向け発行も含まれるため、ストックオプションはその中の一種で、 従業員や役員等の社内向けの権利と理解しておきましょう。

※1 ELBORDE by Nomura「東証上場企業の約3割が導入するストックオプションとは。従業員持株会などとともに解説」(2023年6月23日閲覧)
※2 プルータスコンサルティング「No.123 2020年の新規上場企業におけるストック・オプションの事例調査(2021年5月31日号)」(2023年6月23日閲覧)
※3 新株予約権:一定の期間内に配布元の株式会社に対して行使することによって、その会社の株式を前もって決められた金額で取得できる権利のこと。 権利行使に対して予約ができる新株である点が通常の新株と異なります。社外の投資家等も取得が可能な新株予約権のうち、 社内の従業員や役員等に付与するものをストック・オプションと呼びます。

ストックオプションのしくみ

ストックオプションは、株価が将来的に上昇したタイミングで権利を行使し、会社の株式を取得・売却することで、株価上昇分の利益が得られる仕組みです。 例えば、現在の株価が1株1000円のA社で、「5年以内ならいつでも2000株まで、1株1000円で購入できる」というストックオプションが付与されたとします。 1年後、A社の株価が倍の1株2,000円まで上昇した際に、ストックオプションの権利を行使したのちに、市場で売却した場合、1株あたり1,000円の利益を得ることができます。

ストックオプションのメリット・デメリット

ここからは、ストックオプションが持つメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

メリット① 従業員のモチベーション向上 会社の業績向上と株価の上昇は相関性があるため、従業員の業績向上への意識やモチベーションの向上につながります。 現在、企業ではこの利点を活用して、ストックオプションをインセンティブとして導入するケースが多いです。

メリット② 資金負担なく優秀な人材を確保できる 財務の余裕がない企業でも、ストックオプションがあれば株価上昇を期待する優秀な人材が集まります。 また、権利行使前の退職を避けられるため、早い段階での人材流出を抑制する効果もあります。
メリット③ 従業員のリスクが軽減される ストックオプションでは権利を行使するまで実質的な損失が発生しません。仮に株価が下落しても、権利を行使せずに放棄することが可能であるため、リスクが限定的です。

デメリット① 株価が下落すると従業員のモチベーションが低下しかねない 株価が下落した際は、せっかくインセンティブとして付与された権利を行使できない状況は、従業員にとってモチベーションの低下の要因になります。

デメリット② 大量発行による株式の価値低下 ストックオプションを繰り返し発行すると、既存株主の保有する株式の価値が下がっていきます。既存株主への影響も発行時に考慮する必要があります。


まとめ

前半部分では、ストックオプションの概要としくみについて説明しました。なぜ取り入れる企業がこの制度を導入する理由については、皆様に理解いただけたと思います。 後半部分では、最近ニュースで注目を集めている「信託型ストックオプション」が、なぜ話題になっているのかについて迫ります。

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